老舗企業のデザイン・イノベーションを「カモ井テープ」に見る
2010-06-04 21:16:19 (13 years ago)
先日、このブログで紹介した「カモ井テープ」に興味を持ち、
もっと知りたくなって「カモ井加工紙の87年“粘着の技術”」という
本を買いました。
「カモ井」は“ハイトリ紙”を製造する会社として
大正12年に岡山倉敷市で創業しました。
当時、蠅は伝染病を媒介するといわれ、
駆除の対象でした。
そのころ、蠅取り紙はドイツやアメリカからの輸入品で
高価なために富裕層しか買うことが出来ませんでした。
そこに目を付けたアイデアマン創業者の鴨井利郎氏が
低価格で高品質の“ハイトリ紙”を開発し、
大ヒット商品としました。
その後、太平洋戦争などで、
経営の危機を何度も経験しながら、
創業者のアイデアでそれらの危機を何度も乗り越えてきました。
そして、1962年から現在の粘着テープを
製造販売するようになりました。
「カモ井」という会社のとてもユニークな所は
新しい仕事を内部、外部関係なく
やる気のある人に任せてしまうことです。
「粘着テープ」も元々は
大阪でテープ製造会社の工場長をしていた人が
「カモ井」の技術に興味を持ち、
元の会社を退職し、「カモ井」に入社し、
「粘着テープ」の開発を一から十まで行い
成功させました。
前回のブログで紹介した
お洒落な粘着テープも、
元々、工業用であったマスキングテープに興味を持った
東京のデザイナーが「カモ井」本社を訪れ、
小ロット多品種で、お洒落なテープを作れないかという
要望を聞き入れ、
そのデザイナーをアートディレクターとして起用し、
開発された商品です。
「カモ井」という会社は
“物”に考え方が偏りがちな製造業の世界にありながら、
常に情熱的な人に視点を向け、
その人の考え方を積極的に企業姿勢に取り入れることで
成功し続けているのです。
上記のデザイナーによる商品開発も
普通の紙のように色が乗らない粘着紙に
幾度もの試作を繰り返し、
美しい色出しに成功したことで
若い女性達に人気がでたのです。
よく、製造業の人たちは
「それはダメ、あれはダメ」と言って
自分たちの技術の枠を離れようとしません。
しかし、市場は「人」で成り立っているのです。
「物」から視点を離し、「人」に目を向けることで
イノベーションが実現できることを「カモ井」は実証しています。
デザイン・イノベーションとは、
単純に美しいデザインを作ることではなく、
中心の部分を大切にしながらも、
市場のニーズに挑む“組織改革”だと僕は考えています。
それが、老舗企業が生き残る秘訣かもしれませんね。
ヨーロッパの展示会で大好評のカモ井の「mt」シリーズ
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もっと知りたくなって「カモ井加工紙の87年“粘着の技術”」という
本を買いました。
「カモ井」は“ハイトリ紙”を製造する会社として
大正12年に岡山倉敷市で創業しました。
当時、蠅は伝染病を媒介するといわれ、
駆除の対象でした。
そのころ、蠅取り紙はドイツやアメリカからの輸入品で
高価なために富裕層しか買うことが出来ませんでした。
そこに目を付けたアイデアマン創業者の鴨井利郎氏が
低価格で高品質の“ハイトリ紙”を開発し、
大ヒット商品としました。
その後、太平洋戦争などで、
経営の危機を何度も経験しながら、
創業者のアイデアでそれらの危機を何度も乗り越えてきました。
そして、1962年から現在の粘着テープを
製造販売するようになりました。
「カモ井」という会社のとてもユニークな所は
新しい仕事を内部、外部関係なく
やる気のある人に任せてしまうことです。
「粘着テープ」も元々は
大阪でテープ製造会社の工場長をしていた人が
「カモ井」の技術に興味を持ち、
元の会社を退職し、「カモ井」に入社し、
「粘着テープ」の開発を一から十まで行い
成功させました。
前回のブログで紹介した
お洒落な粘着テープも、
元々、工業用であったマスキングテープに興味を持った
東京のデザイナーが「カモ井」本社を訪れ、
小ロット多品種で、お洒落なテープを作れないかという
要望を聞き入れ、
そのデザイナーをアートディレクターとして起用し、
開発された商品です。
「カモ井」という会社は
“物”に考え方が偏りがちな製造業の世界にありながら、
常に情熱的な人に視点を向け、
その人の考え方を積極的に企業姿勢に取り入れることで
成功し続けているのです。
上記のデザイナーによる商品開発も
普通の紙のように色が乗らない粘着紙に
幾度もの試作を繰り返し、
美しい色出しに成功したことで
若い女性達に人気がでたのです。
よく、製造業の人たちは
「それはダメ、あれはダメ」と言って
自分たちの技術の枠を離れようとしません。
しかし、市場は「人」で成り立っているのです。
「物」から視点を離し、「人」に目を向けることで
イノベーションが実現できることを「カモ井」は実証しています。
デザイン・イノベーションとは、
単純に美しいデザインを作ることではなく、
中心の部分を大切にしながらも、
市場のニーズに挑む“組織改革”だと僕は考えています。
それが、老舗企業が生き残る秘訣かもしれませんね。
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