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デザインで会社をめっちゃ面白くするブログ!!::感性型社会の到来!!
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感性型社会の到来!!
今週の月曜日、
岡山倉敷市に本社がある「カモ井加工紙株式会社」さんに
同志社大学に提出する論文のインタビューさせていただきました。

カモ井本社.jpg

僕達は3時間半ほど
えっちらおっちら大阪から高速道路に乗り、
倉敷市片島町というのどかな田園風景が広がる中、
カモ井さんを発見しました。

この会社
大正12年創業の老舗企業ですが
創業時は「ハエ取り紙」のメーカーで、
昭和40年から50年ごろは
国内シェアNo.1でした。

カモ井看板.jpg

かもい創業期.jpg

その後、日本の衛生状態が急激に良くなり、
粘着紙技術を生かした新たな商品を考え、
建設現場や自動車メーカーなどではおなじみの
「マスキングテープ」を発売。

全国第2位となりました。

青いマスキング.jpg

しかし、今回この会社に僕が興味を持ったのは
すごいマスキングテープやさんというところだけではありません。

若い女性ならよく知っている「mt」シリーズという
ファンシーでカラフルなマスキングテープが
どのように生まれたのかを調べたかったからです。

ご存じの方なら
イメージ出来ると思いますが
「mt」シリーズは
ヨーロッパのメーカーが作ったのかと思うような
とってもオシャレでセンスの良いマスキングテープです。

そのマスキングテープを開発したのが
男まみれの職人さんの世界で名高い
「カモ井」さんだというのは
とても僕には不思議でなりませんでした。

いわゆる対局の商品だからです。

ところが、お会いさせていただいた
谷口幸生専務からお話しを聞いて
驚きと納得ができました。

カモ井専務.jpg
左、谷口専務 右、mt担当の高塚さん



2006年に東京から
3人の女性が工場見学を希望してやってきました。

彼女たちはデザイナーとアーティストとカフェオーナー。

3人に共通しているのは
熱狂的なマスキングテープマニアだということ。

一度は見てみたかった
マスキングテープの製造工場を見るために
わざわざ東京から倉敷までやってきました。


彼女たちの目的は
工場見学と共に自分たちのオリジナルマスキングテープが
作りたいという希望でした。

しかし、なにぶん工業製品。

その生産ロットの大きさに
オリジナルを諦め、東京に帰っていきました。


ここからが、「カモ井」のすごいところ!!


対応していた谷口専務は

「カモ井は“問題解決型”。
一見、不可能に思えることでも“ノー”と
言わないのが信条!!」と

反対する社内を説得し、
1年半の歳月をかけて
3人の女性達とともに悪戦苦闘の末、
「mt」シリーズを世の中に送りだしました。

mt2.jpg

発売後、翌年には「GOOD DESIGN」を受賞。
フランスの「ELLE」などにも取り上げられ、
2010年の売上げは8億円に登るそうです。

海外雑誌.jpg


その華々しい成功の秘訣は、
彼女たち3人の意見を徹底的に
取り入れた商品開発と販路設定にありました。

一般的なメーカーならば、
わざわざ苦労して作った新商品は
出来るだけ沢山さばけるスーパーやホームセンターなどの
大型量販店に流通させたいのが心情です。

しかし、彼女たちの猛反対に会い、
信じられないような小ロットの取引となる
カフェや雑貨屋さんに置くことになりました。

苦情を言う営業マンを説得し
谷口専務はじっと我慢しました。


しかし、この作戦が功を奏し、
マスキングファンの口コミに一気に火が付きました。

そして、カリスママスキングファンにより
相次いで「マスキングテープ本」が出版され、
広告の力を一切使うことなく、
口コミだけで大きな売上げにつながりました。



繰り返すようですが
この成功は上記のように
谷口専務が彼女たちの言い分を徹底的に聞き続けたことです。

彼女たちはデザイナーであると同時に
マスキングテープのリードユーザーでした。

そのリードユーザーが完璧な世界観を構築してくれたお陰で、
フォローユーザー達が大量に集まってきたのでした。


僕は、この現象に
現代社会の構造を感じました。

もう日本では“物”は売れません。

その最たる例が
引き出物に使われる「カタログギフト」。

皆さんも経験があると思いますが
欲しい物なんてなんいも無いでしょう。

なぜなら、現代人は
少しでも自分とフィットしないものは
タダでも欲しくないからです。

それよりも
自分にピッタリフィットするものならば
高くても手に入れたいのです。

そして、フィットするものとは
まるで宗教のように崇拝するリードユーザーが
薦める世界観です。

そして、物はその世界観に所属する
単なる小物にすぎないのです。

いくら高価な材料が使われていても、
いくらすばらしい技術が使われていても、

世界観に所属しない物に
なんの価値も感じられないのが現代人です。


「mt」シリーズは3人の女性達の世界観を徹底的にトレースし、
とことん世界観を再現したのでした。

そのことにより、
リードユーザーの描く世界観に賛同する
多くのフォロワーたちを集めることが出来たのでした。


揺るぎない「感性社会」の到来です!!


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